日本の贅沢な言葉遊び「うえきばちです」

絵本とは何?と言った時に賛否の多い本です。

「うえきばちです」川端誠(BL出版)

対象:3歳 ジャンル:コメディー

のっけから全然関係のない話をします。いや、させてください。私の勤めた会社の最初の上司は、ダジャレがすごく好きでした。

ダジャレを言うのはダレジャ?オランダ!

1時間に1度のペースでダジャレを言っていくので、もはや周囲は普通の会話なのか、ダジャレなのか分からなくなりました。彼がそこまでダジャレを言うことができたのは、ユーモアのセンスもあったかもしれませんが、それ以上に要因は、

・・・暇だから

私が新卒の頃の日本企業は、まだ余裕がありました。働かないおじさんたちがいました。彼らは時間的にも、ストレス的にも、そして金銭的にもゆとりがあるのです。ゆとりがあるから遊び心が生まれるのです。彼の場合は言葉遊びに力を注いでいました。

日本の古来からの言葉遊びで有名なのが掛詞です。

これやこの 行くも帰るも 別れては  知るも知らぬも 逢坂(あふさか)の関   蝉丸(10番) 『後撰集』雑一・1089

逢坂という地名と男女の逢瀬を掛けています。男女の密会さえも文学になった時代です。このころの日本の方が今よりもはるかに遊ぶび心や寛容性があったと思われます。やはり、余裕なきところに遊びは生まれないのです。

絵本については、子どもの興味・関心を引くだけの内容のないものなどは批判にさらされます。この本も一見そのような本ととらえられなくもないですが、決してそんなことはなく、言葉遊びの技術もありますし、何よりもその根底にある遊び心の必要性を伝えようとしているのではないでしょうか。うちの子ども、この本に最初ははまっていましたが、3回くらい読むと読まなくなりました。遊び心がなくなったのでしょうか?うちの子が飽きたとしても、ほかの子に読みたい。そして反応が見たいと思わせる本です。

川端誠先生の本はその他にも以下のエントリでおすすめを紹介しています。

ムズカシイ目的に取り組む人にまわりは心を寄せる「地球をほる」

落語絵本を読み聞かせる。

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これが絵本の中のヒントです。詳しくは現物をみてください。

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